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旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

≪荒野の決闘≫対≪O.K牧場の決闘≫

≪荒野の決闘≫と≪O.K牧場の決闘≫


久しぶりに西部劇を観た。
西部劇も好きな作品がたくさんある。

今まで 日本の時代劇と西部劇を比較しながら観たことは
なかったが、
今回”荒野の決闘”(J.フオード監督)を観ていて
なぜか日本のチャンバラではない格調高い(時代劇)を
観ているような気分を味わった。

西部劇といえば=活劇というイメージが浸透しているようだが
そんなことはない。

過去の作品においても、
私たちの年代でおなじみなのは、
西部開拓史、大いなる西部、真昼の決闘、大砂塵、騎兵隊、
黄色いリボン、リオ ブラボー、3人の名つけ親、
ラストシューテイスト、などなど、
活劇抜きで、ドラマとして楽しめる作品がたくさんある。

恋愛映画より、はるかに優れた西部劇のロマンスものだってある。

”大いなる西部”は好きな作品でよく観る。
ダイナミックなテーマ音楽と共に西部と、東部の肌の違いから
くる 生きかたの価値観の違いを木目細かく
且つ自然の大きさをもみせてくれる。
G.ペック、C.ヘストン、
キャロル ベーカー、ジーン シモンズの四人の生きかた、
恋模様を描き、生きていく上で大事なものを教えてくれた。

”西部開拓史”ではアメリカのフロンテイア精神を、
”騎兵隊”では男の友情をと女性でも楽しめる映画です。

もっと前の世代には、
不朽の名作”駅馬車”(J.フオード)がある。

歴史の短い米国にとっては、
日本の時代劇にあたるものは西部劇しかない。

一言で言えば ”荒野の決闘”も”O.K牧場の決闘”も
実在の人物ーーワイアット アープとドグ ホリデイの
友情の話。

J.フオードの”荒野の決闘”ーー
1946年製作
H.フオンダ、(アープ役)
ヴィクター マーチュアー(ドグ ホリデイ)の共演

かたや
J.スタージェスの”O.K牧場の決闘”
バート.ランカスター(アープ役)
カーク ダグラス(ドグ ホリデイ)-マイケルダグラスの父です

”荒野ーー”--♪オーマイダーリン オーマイダーリン、
オーマイダーリン クレメンタイン♪というテーマ曲。

”O.K--”♪オーケー オーケー、♪とF.レインの
歌に乗せ....と
どちらも爆発的にヒットした音楽です。

久しぶりに観るので、どちらを先に観るか迷いました。

作られた年代を優先し”荒野の決闘”を先に観る事に。

途中でんんんー!まるで、日本で言えば、山本周五郎や藤沢周平
の世界を感じるのです。
これは、私だけだろうか?

山城新吾サーん。どんなもんでしょうかねエー?

全編に漂う格調の高さ、
アープは強いが、控えめで純情で、紳士的で...
ドグ は悪ぶっているが、知性も教養もあり陰のある...

その人物像の描き方ががととっても魅力的である。

西部劇に珍しいドシャブリの雨のシーン、
ワープの弟の死体が見つかるところだ。
そして、この作品には架空の女性クレメンタインを配置する。
ドグのもと恋人である。
ある町で町医者をしていたドグはある事情でこの町に移り住み
肺を患っていて、酒浸りの毎日、酒場の歌姫は彼の愛人である。

そのドグを捜し求めてきたクレメンはやさしく彼に一緒に故郷へ
帰ることを勧めるが、もはや二人の距離は遠い。

クレメンに仄かな慕情を抱き始めるアープ。
もともと、アープは他所で保安官をしていたが、
牛追い(カウボーイ)となって兄弟4人でメキシコへ
牛を運ぶ途中であったが、土地のならず者クレソン一家に
1万頭の牛を盗まれ末弟を殺されたことから、
この町の保安官となる。

その復讐もあるが、この作品では敵討ちということに重きを
置かず、最後までとっておく。

淡々とそしてなによりも抒情的に描いている。
観終わった後に、ああーもう一度観たいーーという暖かい
感情が沸いてくるーー名作とはこーなのだ。

山城さんーー分かったヨー。
(彼が荒野の決闘を一週間に一度は観るという俳優さんです。)

その全編に流れる抒情性はJ.フオードならではのものでしょう。
彼の描いた”我が谷は緑なりき”や”静かなる男”に見られる
抒情と人情ーーこれはまさに江戸人情話に格調性を
加えたものです。

そのこまやかなセリフによる人物像は見終わって唸りました。
”良いねー”]と。

その同じアープとドグを描いた”O.K---”
主題化のヒットもあって長い間人気のある作品でした。
が、娯楽作品としては、1級でしょうが、
芸術作品としては”荒野の決闘”に軍配があがりました。

格調も抒情性もありません。
人物も魅力に欠けます。

ががが、比べてみると”荒野の決闘”がいかに素晴らしいかを
再認識することに一役買ってくれましたね。

ウマが荒野を駆け抜けるときに砂埃がわーっと上がった方が
迫力があると、後に黒澤が”七人の侍”を撮るときに
路に”灰”をまいて馬の走った後に埃をあげる効果をあげるという
撮影に成功したが、J.フオードの大フアンであった
黒澤も彼の映画から学んでいるという個所は随所に見られる。

西部劇は拳銃の撃ち合いだという先入観は捨て、過去の
名作といわれた西部劇を一度ご覧あそばせ。

きっとまた違った観方が出来ると思います。




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